virtualとは仮想という意味だと思っていた。

ある日、ふと調べた辞書には違う意味が書かれていた。
　virtual: 事実上の / 実体・事実ではないが本質を示すもの。
この時、仮想現実という言葉に急に現実と仮想の間の境界線を感じた。

しかし現実とはそれほど確かなものだろうか？
光にはいつも騙され
全ての物が止まりながら形を変える。

そんな不確かな現実の境界線が知りたかった。

本作では、蛍光染料を加えた水を吸わせた花を撮りました。自然光の下ではそのような作為は見えてきません。しかし、紫外線ライトを当てると蛍光染料が光り、それまで見えなかった姿がみえてきます。
何枚かは、紫外線ライトの光で撮った写真と白色光で撮った写真を合成しています。ライティングを変え、再びシャッターを切るまでのわずかな時間に生じたズレに、静止という概念の本質を見たように思えます。